彼女は早期退職後は地方に移住したいと思っている。なぜなら、東京は暑すぎるから。
両親も他界し実家もなくなってしまった今となっては、どこに住んでも良いのだ。しかし、どこでも良いので逆に選択肢が多すぎて困っていた。
そんななか、彼女は国交省が出した「都市圏参考資料」という資料を発見した。これからは人口がさらに減少していくから、都市を中核としてサービスのありかたを見直していく必要があるという説明をするための資料だと思う。
そのなかに「サービス施設の立地する確率が50%及び80%となる自治体の人口規模」という資料があるのだが、これが非常に面白い。2010年のデータを使用しているようなので、ちょっと古いのかもしれないが。
例えば、ハンバーガー店は人口5万人を超えるとだいたいあるが、スターバックスがだいたいあると言えるのは人口30万人以上である。たしかに!
そして、スターバックスがあるところには、だいたい救命救急センターや先進医療に対応した医療施設もある。
つまり「スターバックスがないと生きていけない」という人は、結果として医療へのアクセスも良い地域に住むことになるのである。
彼女はイオンがあれば全然困らないと思っていたけど、目安は人口10万人らしい。地方ならどこにでもあるわけではないのだな、とか。カラオケやフィットネスクラブよりも、映画館のハードルが高いな、とか。
もっと先の話だと、介護関連施設は人口が少なくてもあるけれど、人口規模が大きいほど選択肢が増えるだとか。
もし自分がこれから長く暮らすならという観点で見ると、色々なことがわかって面白い。
住居も大事だけど、そもそもの移住先をまず決めないと。いや、まずはお試しで少しだけ住んでみるというのもありかもしれない。
今まで、命ぜられるままに転勤を繰り返してきたけれど、自分が好きなところに移住できると考えるだけで、彼女はとても幸福な気持ちになるのであった。
【アドバイス】
涼しいところなら東北や北海道でしょうか。たしか能町みね子さんが青森に移住されたのも「東京が暑いから」だったかと思います。次の引っ越しで終の棲家を決める必要はありません。先のことも大事ですが、まずは50代をどこでどうやって過ごしたいかですよ。仕事をされないのであれば海外で生活することだってできます。次はどこで暮らすことになるのか楽しみですね。