彼女がポストを除くと、通販会社からのダイレクトメールが入っていた。なぜ、うっかりと通販会社で買ってしまったのか忘れてしまったが、ダイレクトメールだけは延々と届くのである。
宛先部分を切り取ってシュレッダーして、外側のビニール袋と、中に入っているちらしを分別して。
と、いつもどおり淡々と処分をすすめていた時に、彼女は気がついた。
なんで、頼んでもないダイレクトメールのためにこんな手間をかけなければならないのか。あまりにも日常に溶けこんでいたので疑問を持つことすらなかったが、おかしいではないか。
そう思って調べたところ、日本郵便のホームページにはしっかりと「迷惑な郵便物等が届けられた場合、受け取りを拒絶することができます。」と書いてあった。
郵便として配達されたものは、開封せずに「受取拒絶」と書いて印鑑を押してポストに投函すれば送り主に返送してくれるそうである。
彼女は思った。なんだ、そんな簡単なことだったのか。当然のごとく、受取拒絶である。また来たら、何回でも受け取りを拒絶すればよいのだ。
日常生活のストレスを少し減らすことができて、彼女は大変満足した。
それにしても、もう何年もダイレクトメールを受け取り続けているのに、なぜ今まで「受け取りを拒絶したい」と思わなかったのだろう。
たぶん、ダイレクトメールは来るのが当たり前、来たら分別して処分するのが当たり前。お金がかかるわけでもないし、時間もそんなにかからないし。だから、何も問題はない。そう思い込んでいたのだ。
だが、実際には問題がある。他者のために不愉快な思いをしているのだから、ストレスを感じていて当然である。それなのに感覚がマヒしていたのか、何も感じていなかった。よろしくない。
もしかすると、問題はダイレクトメールだけではなく「あまり意識していないけれど、実はストレスを感じていること」は他にもあるのかもしれないと彼女は思った。
【アドバイス】
自分がストレスを感じているということに気がつくことができて良かったですね。適度なストレスはあったほうが良いという説もありますが、仕事で大きなストレスを抱えているのですから、他のストレスはないにこしたことはないと思いますよ。