彼女は深呼吸をした。思い切り息を吸って、思い切り吐く。ただそれだけのことなのに、立ちくらみを起こしてしまい彼女はあせった。
深呼吸ができない!
彼女が深呼吸をしてみようと思ったのは、「深呼吸はストレスの緩和に効果的」という記事を読んだからである。
ヨガが良いとか、瞑想が良いとか言われても、ちょっとハードルが高い。でも、深呼吸なら息を吸って吐くだけなのだから、誰でもすぐにできるはず。だって、呼吸するだけなんだから。
そう思って軽い気持ちでやってみただけなのに、まず、息を吸えないことに気づく。いや、息が吸えなかったら死んでしまう。なんというか、がんばって息を吸おうとしているのに途中でつかえてしまう感じである。
吐くほうはもっときつい。気持ちは最後まで吐き切りたいのに、途中で「もう無理」となる。
そういえば、最後に深呼吸をしたのはいつだったか思い出せない。深呼吸どころか、息をしてるかどうかなんて考えたことすらなかった。
ストレスで呼吸が浅くなることもあるらしいから、もしかしたら呼吸自体がちゃんとできていなかったのかもしれないということに、彼女はやっと気がついた。
「深呼吸 できない」と検索すると、彼女のように深呼吸がうまくできない人はいるようである。原因は様々だが、これから健康で長生きするためにも、しっかりと呼吸ができるようになりたいところである。
彼女は毎朝の会議の時間を、深呼吸のトレーニングの時間にすることにした。会議と言いながら何の意思決定もしない単なる報告会なのに、他のことをするわけにもいかず本当に時間の無駄だったのだが、深呼吸なら練習できる。
無駄な会議や、上司の長い話を聞く時間も使えそうである。そう考えると、職場では「深呼吸のトレーニング」に使える無時間がたくさんあることに彼女は気がついた。
毎日少しずつ深呼吸の練習をすることで、前よりも深く呼吸ができるようになった。と、彼女は感じている。
【アドバイス】
がんばりすぎると、それはそれでストレスでしょう。深呼吸自体は良いと思いますが、ほどほどにされてくださいね。お医者さんからも「気が滞っている」と言われてましたから、しっかりと呼吸をすれば気の流れもよくなるのではないでしょうか。無駄と感じている時間を有効活用できるようになったのも、ストレス軽減にはとても良いことだと思います。呼吸は一生必要なのですからあせらず取り組まれてください。